新生湖池屋
プロジェクトストーリー
市場のコモディティ化により売り上げ低下が続いていた湖池屋は、2016年に経営体制を刷新。
新生湖池屋として再スタートし、付加価値経営に舵を切りました。
そんな新生湖池屋のフラッグシップ商品となった「湖池屋プライドポテト」の誕生秘話と、リブランディング成功の背景にある、社員の思いや湖池屋が目指している未来について、ご紹介いたします。
MEMBER最終更新 2023年9月25日
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白井 Shirai
マーケティング本部
副本部長1993年入社。
これまで数多くの商品開発に携わり、商品を具現化する役割を担ってきた。現在はマーケティング部やR&Dセンターなどを含む、マーケティング本部全体のマネジメントを担い、高付加価値経営を推進している。 -
新井 Arai
マーケティング部
部長2017年中途入社。
新生湖池屋の立ち上げに中心メンバーとして携わり、スナック市場の多様性の拡大に貢献。現在、湖池屋マーケティング部のリーダーとして、20近くのブランドを束ねている。 -
髙戸 Takado
マーケティング部
課長2016年入社。
営業経験を経て、2019年にマーケティング部へ異動。現在は湖池屋プライドポテト・The 素材のご馳走・湖池屋ポテトチップスのブランドマネージャーを経て、同商品の全面的なマネジメントを担当している。
STORY01
苦境は企業の在り方を変えるチャンス
「湖池屋プライドポテト」が誕生する前、スナック市場ではポテトチップスのコモディティ化が進んでいました。そのような市況で当時湖池屋は他社と差別化ができず、商品の低価格化と販売低下が続き、売上が伸び悩む苦しい時期を過ごします。
その状況を脱却しなければいけないと、新社長の就任とともに新生湖池屋として再スタートを切りました。湖池屋再起のために目をつけたのは、ポテトチップス市場に新しく高品質なプレミアムラインを創るということです。日本の人たちに美味しいものを届けたいという思いで始まった湖池屋創業当時の原点に立ち返り、もう一度お客様に心から喜んでもらえる商品を作ろう、そしてポテトチップスが持っている本来の価値を再定義しようじゃないか、と。そんな想いを抱いて、社運を懸けた挑戦が始まりました。
老舗企業の「原点に立ち返る」というコンセプトのもと、“新たな湖池屋を代表するポテトチップスを作ろう”という目標を掲げ、プロジェクトがスタートしました。
その「原点とはなにか?」を考えることが開発として非常に苦労したところです。
当然ながら創業当時の手作りに戻ることはできません。しかし、創業者が大切にしていた、「まるで料理をつくるように」「業界最高品質のものを」という思いを再び見つめ直し、使用する原料の選定や、芋の旨味を最大限に活かすための製法、深みのある味わいを感じてもらえるような味づくりなど、すべてにこだわり抜きました。また商品の中身だけではなく、パッケージのデザインや形状、価格帯のすべてがこれまで市場になかった目新しいものであったため、マーケティング部・商品開発部のみならず製造部や営業部など全社員が一丸となって取り組んだプロジェクトになりました。
商品化までには本当に様々な苦労があり、全員が納得のいく商品に仕上げることに最後まで苦心しましたが、一切妥協せず、とことんこだわり抜き考え抜いた末に完成した「湖池屋プライドポテト」。そのときの感動は今でも鮮明に覚えています。今振り返ってみると、全員が一丸となり本気になって一つの商品を作り上げたことで、ものづくりに対して妥協しないこと、まさに湖池屋が創業当時から大事にし続けてきた思いに立ち返ることができたと思います。
2016年に新生湖池屋として会社をリブランディングしてから、初めて世に送り出した商品。
製法へのこだわりだけでなく、革新的なパッケージデザインを使用することで、市場にインパクトを与えた。
商品の詳細は、こちらをご覧ください。
STORY02
湖池屋社員の思い
湖池屋はスナック市場2番手の会社であり、2016年のリブランディング以前は、2位に位置するフォロワーというポジションに甘んじていました。その状況を変えるべく、新生湖池屋は付加価値商品に重点を置いた独自のブランド体系で、『フォロワー』から脱却し『チャレンジャー』として臨むことを決意しました。
具体的に言うと、他社に追随し同じような戦い方をするのではなく、他社がやっていない・真似できないことを湖池屋がやっていこうということです。そうして湖池屋の独自性を重視し、湖池屋だからできることを考えた末に、コモディティ化していた市場の中で、プレミアム路線でチャレンジしていくことを決めました。
その後は「湖池屋プライドポテト」を皮切りに、様々なプレミアム路線の商品を打ち出しています。代表的な商品としては、本格的な素材感でじゃがいも本来の旨味を味わえる「ピュアポテト」や、”心を開放するポテトチップス”と銘打ち、圧倒的な味の厚みと確かな食べごたえが売りの「湖池屋ストロング」などが挙げられます。
これらは、大人や女性、若者という新顧客をターゲットにしており、ただ美味しいだけではない付加価値を持つ商品を生み出したことで、新たなファン層の獲得につながっています。
ここで言う付加価値とは、人々の課題解決ができるということです。
例えば「湖池屋ストロング」であれば、ストレス社会である現代において、明日の活力につながる存在でありたいという思いから、あえてガツンと味の濃いしっかりとした味わいに改良を加えています。コロナ禍前と比較して、ストレスを感じている人の割合が増加傾向にあるという社会問題に着眼点を置いた、ということが開発の背景になっている訳ですが、私たちマーケティング部は、常に消費者の皆様が日々実感している課題や、まだ顕在化していない社会課題や悩みなどをしっかりと捉えることで、それらを解決できるような商品を提供していきたいと思っています。
スナック菓子の常識であった「安くて美味しい」の枠を超えて、高品質で現代のライフスタイルに合わせた商品を生み出していく。つまり、お客様が本当に求めているものを湖池屋にしかできないやり方でお客様に届けていく。その挑戦をぶれずにやり続けることが、菓子市場における湖池屋独自のポジションの確立につながっていると思います。
STORY03
湖池屋が目指す姿
私たちは美味しさを届けるだけではなく、商品を通じて「社会の役に立つこと」を大事にしています。商品づくりを行っていく中でその裏には必ず、日本社会にある課題に対して湖池屋が向き合っていくというテーマを持っています。
そのため、商品や企業としての取り組みを通じて、お客様が持つ課題をどう解決できるかを常に考えています。
例えば、多様化するライフスタイルに合わせた商品戦略や、「こんなものが欲しかった!」とお客様自身が気づくような、そんな価値を持つ商品づくりに取り組んでいます。
一例ではありますが、一日3食の食事ではなく、一日に小分けで5食、6食と分食化が進む現代のライフスタイルに合わせ、小袋や小分けタイプの商品の発売、また、簡単な食事の代わりになるような商品の開発に取り組むなど、お客様が持つ様々なニーズを満たしていけるよう、日々商品づくりに励んでいます。
他には、“食”を通じた社会貢献の一環として、湖池屋ではSDGsへの取り組みにも注力しています(※1)。
また商品を通じた地域との取り組みとして、「プライドポテトJAPAN」という企画も行っています(※2)。この取り組みには、日本の誇りや文化を「湖池屋プライドポテト」に乗せて、日本全国に発信していくという目的がありますが、その根底にあるのは「1袋からできる社会貢献」です。
一つの事例として、宗像沖ノ島との取り組みについてご紹介します。「神宿る島」宗像沖ノ島は、2017年に世界遺産に登録されました。湖池屋ではそれを記念して、「JAPANプライドポテト 宗像
焼のり醤油」という商品を発売しました。そこには2つの目的があります。まずは、宗像沖ノ島のさらなる認知拡大を図り、宗像を応援すること。もう一つが、宗像の海を守る活動に貢献することです。この世界遺産が育まれた背景には、関連遺産群を囲んでいる海の恵みの存在があります。だからこそ「海に感謝しよう」という思いで、湖池屋は世界遺産である宗像を応援するとともに、海の環境保全活動として売上の一部を寄付したり、海岸清掃イベントを開催したりと様々な活動を行っています。
※1湖池屋のSDGs活動についてはこちらを御覧ください。
この「プライドポテトJAPAN」のプロジェクトは、現在様々な商品展開をしていますが、それぞれの商品毎にテーマを設定し企画しています。
日本社会が抱えている課題に対して微力かもしれませんが、商品を通じて地域の皆様と一緒に考えながら課題を解決していきたいという強い思いを私たちは持っています。これからも地域の方々と湖池屋が一緒になり、その地域を盛り上げていくことはもちろん、日本全体を盛り上げていけるような企業でありたいです。
湖池屋が描く未来は
湖池屋が目指すのは、「社会や人々の役に立てる会社」になることです。ものづくりというのは、愛情を持って、みんなのこと・誰かのことを想って発想していかなければ絶対に良いものは作れません。
だから湖池屋の社員は、人々はどんなことに困っているのか、どんな社会であればより良く生きられるのかということを考えています。湖池屋の社員が、社会や人々のことを想って作り上げた商品がお客様の心に響き、湖池屋のファンになってもらえる。そんな企業としての姿が理想だと思います。
湖池屋の商品自体ももちろんですが、「湖池屋の考え方」や「湖池屋の向かう方向」に、今後もぜひご期待いただけると嬉しいです。